- エム・シー・ヘルスケアグループ
- グループTOPICS
- 【コラム】この医療材料の先に患者がいる――社員22人とパート約150人でつなぐエム・シー・ヘルスケアの「魂の物流」
グループTOPICS
【コラム】この医療材料の先に患者がいる――社員22人とパート約150人でつなぐエム・シー・ヘルスケアの「魂の物流」
埼玉県三郷市にあるエム・シー・ヘルスケア株式会社(以下MCH)の関東物流センター。約1万2,300平方メートルのフロアに約2万5,000種類の医療材料・医薬品を常時在庫し、首都圏・北関東の28病院へ供給する同社最大の物流拠点です。
その巨大な施設を動かしているのが、MCHの社員22人と約150人のパートスタッフです。倉庫内を歩きながら医療材料をピッキングする人もいれば、デスクで病院から戻ってくる使用実績を処理し、補充や請求へつなぐ人もいます。医療に関わる仕事として高い正確性が求められる一方、安心して長く働ける環境づくりにも力を入れています。
MCHは「物流の会社」であると同時に、「医療の会社」でもあります。その意識を約170人で共有しながら、仕事の先にいる患者を想像する。関東物流センターマテハンユニットの杉本さん、廣澤さん、オペレーションユニットの鈴木さんに、医療物流を支える人と、この現場に根づく仕事への思いを聞きました。
■約1万2,300平方メートル――物流施設が集まる三郷の巨大拠点
関東物流センターは2017年10月、横浜市瀬谷区にあった2つの物流拠点を統合する形で開設されました。大型物流倉庫の一角、約1万2,300平方メートルを使用し、北は栃木県那須エリアから南は神奈川県平塚市周辺まで、首都圏・北関東の広い範囲をカバーしています。
三郷市周辺は、大型倉庫や物流施設が集積する物流エリアです。関東物流センターが入るMarq三郷3(旧GLP三郷III)は、東京外環自動車道の三郷中央ICから約1.5km、常磐自動車道の三郷ICから約2.2kmに位置します。三郷JCTでは東京外環自動車道、常磐自動車道、首都高速6号三郷線が接続しており、首都圏・北関東へ医療材料や医薬品を送り出す物流拠点として、交通アクセスに恵まれた立地にあります。
【関東物流センターが入るMarq三郷3】
建物は免震構造を備え、施設内の設備や動線、日々の運用でも、物流施設で生じ得る危険をできるだけ減らす工夫が重ねられています。医療材料や医薬品を安全に管理することはもちろん、ここで働くスタッフたちが安心して仕事に向き合えることも、安定した物流を支える条件の一つです。
施設内は1年を通じて25度以下に保たれています。物流倉庫というと、夏は暑く、冬は寒いというイメージもありますが、ここでは季節による極端な温度差を感じることなく働けます。大量の医療材料や医薬品を適切な環境で管理することと、働く人にとって快適な環境をつくることが重なっています。
■社員22人、パート約150人――働き方も役割も一つではない
関東物流センターでは、社員22人と約150人のパートスタッフが働いています。倉庫内では、病院ごとの出荷指示に沿って棚から必要な物品を集め、数量や品目を確認し、行き先ごとに仕分けます。広い倉庫を歩きながらピッキングを担当し、1日に2万歩近く歩くスタッフもいます。
一方、パートスタッフのうち約30人は、病院で使用された医療材料の情報を確認し、売上や請求などへつなげるオペレーション業務を担います。デスクに向かって集中して情報を処理する仕事もあれば、倉庫内で身体を動かす仕事もある。同じ物流センターの中でも、働き方も求められる力も一様ではありません。
オペレーションユニットの鈴木さんは「物流というと、物品を運んだり仕分けたりする仕事がまず思い浮かぶと思います。でも、病院で何が使われたのかを正しく把握し、その情報を次の補充や請求につなげる仕事も欠かせません。いろいろな役割の人が、それぞれの仕事を次へ正確に渡していくことで全体が回ります」と語ります。
約170人がそれぞれ異なる役割を担い、その仕事を次へ正確に渡しながら、一つの医療物流を支えています。
■物流の会社であり、医療の会社でもある
関東物流センターが扱うのは医療材料だけではありません。医薬品も取り扱うため、センターには薬剤師が勤務しています。一般の商品を保管し、正しい場所へ送ればよいという物流とは異なり、医療に関わる物品を扱う会社としての知識と責任が求められます。
そのため、センターでは、ピッキングや仕分けといった作業手順だけでなく、薬機法をはじめとする医療に関わる制度やルールを学ぶ勉強会なども行っています。なぜロットを追跡できなければならないのか。なぜ使用期限を厳密に管理するのか。決められた手順の背景まで学ぶことで、「物流の仕事をしている」という意識に、「医療に関わる仕事をしている」という視点を加えていきます。
関東物流センターは、外部から閉ざされた場所ではありません。取引先である病院の関係者が実際の物流現場を見学に訪れることがあり、医療材料や医薬品をどのような環境で、どのように管理しているのかを、いつ見られてもきちんと説明できる状態にしておく必要があります。
杉本さんは「物流として正しく物品を扱うことはもちろんですが、私たちは医療に関わる会社でもあります。なぜこの管理が必要なのか、この医療材料が病院でどう使われるのかまでスタッフには知ってほしい。自分たちの仕事が医療の一部を支えているという意識が、仕事の質にもつながると思っています」と語ります。
病院関係者にも開かれている現場には、医療を扱う場ならではの緊張感があります。一方で、規律を支えるのは緊張感だけではありません。自分が扱う物品の意味を知り、担当する工程が診療のどこにつながっているのかを理解することが、一人ひとりの責任感につながっています。
■「この先に誰がいるのか」――医療材料を手に取る意味
マテハンユニットの廣澤さんが、物流現場で大切にしているのが「その先を想像すること」です。
医療材料を正しい数量で揃える。送り先を間違えない。良好な状態で届ける。ロットや使用期限を正しく管理する。医療物流では、こうした基本的な規律を崩すことはできません。しかし廣澤さんは、決められた手順を守るだけではなく、その仕事が何につながっているのかまで考えることが大切だと話します。
「自分がいま手に取って、ピッキングしている医療材料が、この先どこへ行って、誰のために使われるのか。そこまで想像できることが大事だと思っています」と廣澤さんは語ります。
関東物流センターで働く人が、自分の手で揃えた医療材料を実際に使用する患者と顔を合わせることはほとんどありません。それでも、その物品は病院へ届き、医師や看護師の手に渡り、最後には患者の診療や治療に用いられる。その患者の周囲には、回復を願う家族や友人もいます。
廣澤さんは「自分の親や子ども、兄弟、友人に使われるものだったら、どう扱うだろうと考えてみる。もちろん、誰に使われるものであっても同じ品質で扱うのが仕事です。でも、その先にいる人まで想像できれば、目の前の作業の意味は変わってくると思うんです」と語ります。
正確にピッキングすることも、丁寧に物品を扱うことも、それだけを見れば日々繰り返される作業です。しかし、「なぜ正確でなければならないのか」が腹落ちすれば、規律は単なる手順ではなくなる。自分の仕事が診療へつながっているという実感が、一つひとつの仕事に向き合う姿勢を変えていきます。
■1日4時間、週3回から――それぞれの生活に合った働き方
真剣な仕事を長く続けるためには、働く人の生活に無理なく組み込めることも大切です。関東物流センターでは、仕事内容だけでなく、勤務時間や通勤方法にも複数の選択肢があります。
パートスタッフは1日4時間、週3回から勤務できます。マイカー通勤に加えて自転車で通う人もいます。公共交通を使う場合には、JR武蔵野線の三郷駅や、つくばエクスプレスの三郷中央駅方面からバスを利用することもできます。関東物流センターには三郷市内だけでなく、八潮市、越谷市、千葉県松戸市など、周辺地域からスタッフが集まっています。
施設内にはカフェテリアがあり、その場で調理された温かい食事を取ることができます。簡易なコンビニと一体になったフードコートもあり、自分で持ってきた弁当を広げても構いません。勤務時間だけでなく、通い方や休憩時間の過ごし方にも、それぞれの選択肢があります。
仕事そのものにも幅があります。倉庫内を歩いて身体を動かす仕事もあれば、デスクで情報を扱う仕事もある。適度に身体を使って働きたい人、細かな確認作業を得意とする人、家庭や子育て、介護などと両立したい人。それぞれが自分に合った形で関わることができます。
仕事を終えたときのほどよい身体の疲れに心地よさを感じる人もいます。収入ややりがい、家庭との両立など、仕事に求めるものは人それぞれです。そうした違いを受け止める余地があることも、約150人のパートスタッフが医療物流を支える現場の特徴です。
■「魂の物流」――規律と優しさが同居する現場
働きやすい環境を整える一方で、関東物流センターが大切にしているのが、仕事の社会的な意味を共有することです。自分たちの仕事が何を支えているのか、MCHの事業にどこまで共感できるのか。それもまた、医療物流の品質を支える要素になります。
医療材料や医薬品は、誰かが必要な場所へ運ばなければなりません。病院内の在庫を管理し、使われた分を補充し、その情報を請求までつなぐ人も必要です。医療の表舞台に物流が登場する機会は少ないですが、その流れが止まれば、医師や看護師が日々の診療を続けることにも影響が及びます。
廣澤さんがスタッフへ伝えようとしているのは、そうした仕事の社会性です。自分が担当する棚や工程だけを見るのではなく、その前後にどのような仕事があり、最後に何へつながっているのかを知る。「間違えてはいけない」という規律に、「医療を支えている」という意味を重ねていきます。
廣澤さんは「こちらが病院のことを考えて仕事をすれば、それは何らかの形で返ってくると思っています。直接『ありがとう』と言われる仕事ばかりではありませんが、病院の方から評価していただいたり、現場の声が伝わってきたりすると、やっぱり励みになります」と語ります。
きちんと届ける。使いやすい状態に整える。次に作業する人のことを少し考える。そうした小さな工夫や思いやりが病院からの信頼につながり、めぐりめぐって働く側のやりがいや仕事の楽しさにも返ってくる。高邁な理念を声高に掲げるのではなく、一つひとつの仕事に誠実に向き合い、相手の立場を想像する。その積み重ねが関東物流センターの日常です。
【綺麗に整理された折りたたみコンテナ】
社内では、こうした仕事を時に「魂の物流」と表現する人もいるといいます。少々熱のこもった言葉ではありますが、約2万5,000種類を毎日正確に動かし続けるには、設備やマニュアルだけでは足りません。自分が扱う医療材料や医薬品が何のためにあり、その先に誰がいるのかを想像する力があってこそ、規律は仕事への責任や誇りに変わっていきます。
仕事には真剣であり、相手には少し優しくある。関東物流センターの「魂の物流」は、そんな一見当たり前の姿勢を、スタッフたちが毎日積み重ねていくことなのかもしれません。
■物流を知ることから始める――2~3カ月にわたる新卒研修
関東物流センターには、人に関わるもう一つの重要な役割があります。MCHに入社し、関東近郊で営業としてキャリアをスタートする新卒社員を受け入れる、人材育成の拠点としての役割です。
新卒社員は病院へ営業として配属される前に、2~3カ月ほど関東物流センターで研修を受けます。単に新人を物流現場へ預けるのではなく、研修プログラムは本社教育部門と関東物流センターが密に協議し、会社として何を学んでほしいのか、どこまで現場を経験させるのかを擦り合わせながら組み立てています。
研修では、医療材料がメーカーやディーラーから入り、どのように在庫管理され、ピッキング、仕分けを経て病院へ届けられるのかを実際に経験します。その後、病院で使われたという情報が戻り、補充、売上、請求へつながるところまでを見ることで、MCHの仕事を一つの流れとして理解していきます。
杉本さんは「病院担当者として病院へ出る前に、医療材料がどこから入り、どう管理され、どう病院へ届くのかを一度きちんと経験してほしいと思っています。さらに、使われた後の情報がどう戻り、補充や請求につながるのかまで見る。そこを知っているかどうかで、病院担当者になってからの病院の見え方はかなり変わると思います」と語ります。
新人が教わる相手は社員だけではありません。日々大量の医療材料を扱い、物品の特徴や取り回しを身体で覚えてきたベテランのパートスタッフから、ピッキングや仕分け、確認作業を直接教わることも多くあります。長年の経験によって磨かれた手順や勘所を、新入社員が実際に手を動かしながら学んでいきます。
受け入れる側にも当然、手間はかかります。それでも2~3カ月をかけて研修を行うのは、物流を知ることが、MCHの事業そのものを知ることにつながるからです。
杉本さんは「病院に必要な物品が不足なく揃っているということは、決して自然に起きているわけではありません。その裏側でどういう人が働き、どういう仕組みでモノと情報がつながっているのかを知っていれば、病院担当者として病院の方と話すときにも想像できる範囲が広がります。物流を経験することは、MCHの仕事を理解することでもあります」と語ります。
■仕事の技術とともに「その先を見る目」を渡していく
関東物流センターは、約1万2,300平方メートルの大型物流施設です。免震構造と充実した設備を備え、約2万5,000種類の医療材料や医薬品を扱う。その内部では、社員22人と約150人のパートスタッフが、それぞれ異なる役割や働き方で一つの物流をつないでいます。
そこで求められるのは、正確に仕事をする技術だけではありません。薬機法などを学び、自分の仕事がなぜ必要なのかを知る。病院関係者や行政の目にも開かれた現場で責任を持ち、自分が扱う物品の先にいる人を想像する。そうした積み重ねによって、物流の仕事は医療を支える仕事へとつながっていきます。
そして、その姿勢は新卒社員にも受け継がれます。物流センターで自分の手を動かし、社員やベテランのパートスタッフから仕事を教わることで、MCHが病院へ提供している価値を身体で理解していきます。
この医療材料の先に、誰がいるのか――その問いを忘れず、目の前の仕事に真剣に向き合い、次の人へ丁寧に渡していく。関東物流センターで受け継がれているのは、物品を動かす技術だけではない。医療を支える仕事に対する、誠実さと温かさそのものなのです。
