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【コラム】男性育休を「当たり前」にするために――MCHグループが育む働き続けやすい組織文化(前編)

エム・シー・ヘルスケア株式会社
関東統括部 東京第2営業所 渥美さん

MCHグループでは、制度の整備だけでなく、実際に育休を取得する社員を支える文化が少しずつ育ってきています。エム・シー・ヘルスケア株式会社 関東統括部 東京第2営業所の渥美さんは、2023年5月から3カ月の男性育休を取得しました。上司である所長との関係性、現場での引継ぎ、家族との時間、そして価値観の小さな変化。その一つひとつに、成熟へと向かうMCHグループの姿が表れています。

■医療現場を支える現場で働くということ

渥美さんが入社したのは2019年5月でした。小売業から医療業界へ転じ、30歳を迎えたタイミングで新しいキャリアに踏み出しました。MCHグループには異業種からの転職者も多く、「目の前の病院スタッフ、その先の患者さんを想う姿勢」があれば知識は着実に身につきます。体系だったトレーニング環境も整い、挑戦を後押ししています。

とはいえ、医療物流の現場で求められるのは単なる物品補充ではなく、多様な制約の中で病院の業務を止めないための高度な調整力です。渥美さんは小売業で培ったコミュニケーション力や相手への洞察、場を読む感性を武器に、医療現場で力を発揮していきました。

「いろんな人の感じ方や考え方が見える瞬間が好きで、小売時代の経験は今も活きています」と話します。BtoCで磨かれたホスピタリティは、スタッフ一人ひとりの温度感をつかみ、必要な情報を引き出し、運用に反映する力へつながっています。

東京都内800床規模の大病院で約3年間運用を担った後、現在は同じく都内300床規模の2病院の支援にも携わっています。場の空気を和らげる人柄と丁寧に状況を読み取る姿勢は、現場との信頼関係を築く強みになっています。

■ 育休取得を成功させるためのポイント

第一子の誕生を前に、渥美さんにとって育休を取得するという決断は自然な選択でした。

「今どき、昭和の価値観ではありません。父親として子育てを楽しみにしていましたし、会社の制度を使って親としての務めを果たしたいと思っていました」

2023年2月頃には営業所のミーティングで育休取得の意向を早めに共有し、引継ぎを開始しました。ほぼ同時期に育休を取る男性社員がいたことも心強さにつながっています。

上司は渥美さんの決断を当然のものとして受け止めました。

「まずはお子さんが無事に生まれてほしいという気持ちが第一でした。引継ぎは必要ですが、リソース調整はマネジメントの仕事です。大げさに扱うとかえって本人が気にしますから、普段どおり淡々と準備しました。 」

制度が「実際に使えるもの」になるかどうかは現場の運用次第です。同僚への気遣いをしたり、自分自身の業務を手放す不安が残る社員も少なくありません。ここで鍵になるのが、属人性の排除と業務の見える化・標準化です。誰が担当しても回るようにしておけば、育休は組織の段取りを見直す機会にもなります。渥美さんが早めに「先手、先手」で動いたことは、その好例です。

収入面でも月次では減収があっても年間で見れば影響は出にくく、丁寧な準備が心理的ハードルを下げていきました。

■ スムーズな引継ぎを生んだ、先手の動きと信頼関係

育休取得によって業務に乱れが生じなかったのは、信頼と準備の積み重ねがあったからです。上司は早めに後任を選び、渥美さんも同僚・後輩へ少しずつ仕事を渡しながら段取りを整えていきました。

上司は品川本社と担当病院を頻繁に往復し、現場の空気や負担感を丁寧に受け取っていました。上司部下の関係性になる以前から一緒に働いていた時期もあったため、渥美さんの迷いや負担にも気づきやすく、重くなる前に支える姿勢が安心感を生んでいました。

上司は「時間的に余裕をもって動いてくれたので助かりました。現場の調整もきちんとできていました」と振り返ります。

渥美さんには担当病院2院それぞれに自席があり、日頃からスタッフと顔を合わせています。短いやりとりも含めて上司とは毎日のように連絡を取っていて、考え方や動きが自然と共有されていきました。

 今回の引継ぎでは主に同じ営業所の3人が渥美さんの業務を受け取り、運用を安定させました。先輩の仕事を素直に受け止め、責任をもってやり切る姿勢は、チームの底力を感じさせるものでした。

引継ぎは新しい関係づくりや見えない不安との向き合いを伴います。それでも滞りなく進んだのは、渥美さんの先手の準備、上司の支え、若手の誠実な姿勢、そして日頃からの対話が根づいていたためです。

 

≪後編へつづく≫

(本記事は2025年11月に取材した内容に基づいています)