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【コラム】従業員がいきいきと働ける職場を目指して――仕事と育児の両立支援を推進(後編)
■前編はこちらからご覧いただけます。
3. 取組の成果・取組を進めたことによる効果等
Q:制度をつくるだけでは働き方は変わらないと思います。職場全体の意識や行動を変えるために、どのような工夫をしながら取り組まれたのでしょうか。
A:MCHグループでは、2022年度から「休ませ方改革」を全社方針として掲げ、管理職層を中心に意識改革に取り組みました。制度の浸透を待つのではなく、まず組織として実行を決断し、休めるだけの体制を整えることから着手しました。当初は戸惑いや不安の声もありましたが、管理職層が一枚岩となって方針を貫き、多少の摩擦や負荷を覚悟してでも「きちんと休む」「休めるようにする」を断行する姿勢を明確にしたことで、組織全体に大きな意識の変化が生まれました。この決断が、MCHグループ全体の働き方改革の原動力となりました。
もちろん、現場では戸惑いや不安を表す声も聞かれましたが、組織的に強い覚悟をもって制度整備を進める中で、職場の行動にも確かな変化が見られています。ここ数年で顕著に改善されたのが、男性社員による育児休業の取得への理解です。以前は周囲への配慮からためらう傾向がありましたが、現在では言い出しやすい雰囲気が醸成され、取得者が着実に増えています。職場では、休業中のフォロー体制も整い始め、安心して制度を利用できる環境が定着しつつあります。
また、健康経営の推進(健康経営優良法人2025・大規模法人部門の認定を取得)にあたっても、まず制度や仕組みを整え、運用を通じて定着を図るという方針で進めてきました。制度づくりを先行させることで、従業員が新しい働き方に踏み出すきっかけを生み出し、結果として組織全体の行動変容を促しています。(土屋)
こうした取り組みの結果、在宅勤務や時差勤務の活用も進み、家庭の事情に合わせて柔軟に働けるようになりました。女性を対象とした働き方の満足度は、2023年度から2024年度を比較し6.7%の上昇が確認されています。通勤時間の削減による生活のゆとりや、多様な働き方の定着が背景にあると考えられます。
さらに、女性の営業職登用も着実に進展しています。MCHグループでは2016年度の新卒グループ採用の開始を契機に、病院営業でも女性社員を積極的に配置するようになりました。2025年4月入社は新卒15人のうち女性8人、2026年度には19人のうち11人が女性となる見込みです。男性職場の印象が強い分野においても、女性社員が確実に成果を上げており、活躍の場が広がっています。(山本)
4. 取組を進めるにあたっての工夫・苦労
Q:広く従業員に取り組みを知ってもらうのに、どのような工夫をしていますか。
A:MCHグループでは、制度の整備だけでなく、従業員の理解と意識づくりを重視しています。人事部では定期的に説明会を開き、制度の内容や利用方法を共有しています。内容は社内イントラネットにアーカイブ化し、必要なときに誰でも確認できるようにしています。多様な働き方が進むなかで、社員それぞれが自分に合ったタイミングで情報に触れられる環境を整えています。
2025年9月には、休暇制度の活用事例を紹介する社内セミナーを開催しました。制度が「ある」ことと「使われる」ことの間には、やはり少なからずギャップがあります。そこで、実際に休暇を上手に取得している社員の体験を共有し、具体的な活用イメージを持ってもらう試みを行いました。身近な事例を通じて休暇制度を自分ごととして捉えるきっかけとなり、「かゆいところに手が届くような内容だった」と多くの社員から好評を得ています。こうした取組を通じて、制度が「自分のための仕組み」であるという実感が少しずつ広がりつつあります。
人事部は隙間時間にも無理なく視聴できるアーカイブ配信、要点を絞った資料づくりなど、実務に負担をかけない工夫を続けています。
また、人事部が大切にしているのは、制度を知識として伝えるだけでなく、自分の働き方や将来の生活に結びつけて考えてもらうことです。自身のライフイベントへの備えを先送りにしがちな現実を踏まえ、必要な時期を逃さずに行動できるよう促しています。もちろん、耳に心地よい話ばかりでなく、現実的な課題や将来のリスクへの備えの重要性を率直に伝えることもあります。社員の意識を変えるためには、伝える側にも勇気と粘り強さが求められます。
当たり前のことかもしれませんが、制度を利用してもらうことを目的とするのではなく、自分のために制度を活用しようと考えてもらう。そのための働きかけを積み重ねることが、人事部の基本姿勢となっています。こうした地道な努力が社員一人ひとりの自立した働き方を支え、組織全体の安定と成長へとつなげていければと思います。(山本)
5. 今後の課題・展望
Q:2010年代に社内の制度を充実させていき、2020年の新型コロナの流行期を経て、急速に整備が進んでいきました。これから先をどのように見据えますか。
A:MCHグループでは、仕事と家庭の両立支援や柔軟な働き方を支える制度がすでに整備されており、今後はそれをより多くの社員に活用してもらい、日常の働き方に定着させていくことが課題となっています。特定の人だけに依存しない体制を築き、誰が不在でも業務が滞らない仕組みを整えること。そのための風土づくりと意識改革を継続していくことが重要です。(山本)
次の重点テーマは、女性管理職の登用です。MCHグループでは、今年度末までに各社で管理職に占める女性比率を10%とする目標を掲げています。国が2030年度までに示している「3割」という数値に向け、段階的に引き上げていく方針です。部長職や役員ポストを含め、管理職へのステップを明確に示すことで、社員が将来像を具体的に描けるよう支援しています。
このことと関連して、若手層から管理職を志す意識を育てるため、育成プログラムの拡充にも力を入れています。管理職に求められる視点や判断力を早い段階から身につける機会を設け、挑戦への心理的な壁を下げています。管理職になることを負担ではなく、自己成長の延長として捉えられるよう、教育と支援を重ねています。
人事の業務において全般にいえることですが、国の数値目標に合わせて成果を出していくことは、社会的責任として欠かせません。しかし、指標を達成して終わりではなく、人材の育成や組織全体の底上げといった「実」の部分を磨いてこそ、数字の意味が生きてきます。MCHホールディングスは、制度を支える人材が着実に育ち、組織が強靭化し、層の厚みを増していくことで、グループ全体の信頼性を高めていきます。こうした基盤の強さこそが、プラットフォーマーとして社会に貢献し続ける原動力になると考えています。(土屋)
(本記事は2025年10月に取材した内容に基づいています)
